【無料】2015年度のリフォーム産業新聞の調査で依頼件数No.1
kW単価が相場より高い。とにかく1円でも安く付けたい。
【質問】
はじめまして。太陽光発電システム(以下、ソーラーシステム)の見積もりで質問があります。
メーカーは○○。9kWで300万の見積もりをもらっています。
個人的には1kWあたり30万超えているので、高いと感じています。適正な価格でしょうか。どうぞご回答よろしくお願いいたします。
【回答】
国産や海外産といった違いはありますが、2016年の相場は、1kWあたり35万円程度です。
9kWで300万円の場合、1kWあたり33.3万円。決して相場より高いということはありません。
どんなものにも原価と利益というものがあります。
ソーラーシステムの原価は6割といわれています。
総額が300万円なら、180万円がパネルやパワーコンディショナの仕入れ原価です。では、残り120万円は何か。
・職人の給料
・宣伝費
・会社に残る利益
となります。利益ゼロではボランティアですし、会社が維持できません。
デフレが流行し、なにがなんでもとにかく安く買えればそれでいい。そんな考え方がいつからか日本にも蔓延しました。
お店で実物を見て触り、店員に使い方をさんざん聞いて、購入するのはインターネットというショールーミングが流行したのも、この頃です。
ソーラーシステムは、環境のことや節電のためにどうしても設置したい。けれど、業績や都合が悪くなったら、消費者のことはお構いなしでいなくなるような会社には当たりたくない。それでも、できれば安く買いたい。
わかります。その気持ち。とくにテレビや電話機といった家電製品のように、ソーラーシステムは「買ったら終わり」ではありません。購入、取り付け、アフターメンテナンスが20年以上、必要です。
国からの補助金が存在したり、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の買取価格が42円の頃は、消費者もその恩恵を受けることができました。けれど、2016年は国の補助金もなく、FIT価格も31円(33円)と毎年、買取価格は下がっています。
>>>安く買いたい。その気持ちが削ってはいけない業者の利益を削る
だからこそ消費者は安くソーラーシステムが買いたい。それも理解できます。しかし、仕入れ原価が下げられない販売店は、一体何を削ると思いますか。
日本でも、いろいろな事件が起きました。コスト削減のために廃棄すべき食品の原材料を使いまわした事件を覚えていらっしゃる方もいることでしょう。
そうです。削ってはいけないところを削ります。安全にかけるべきコストを削ります。
・人件費
・パネル以外の製品の質を落とす
・利益
一件、利益は「会社が利益を減らすだけだからいいじゃん」と思うかもしれません。けれど、利益の残らない会社を待つのは倒産です。
20年以上のアフターフォローが必要なソーラーシステムなのに、会社が残っていない。せっかく良いアフターフォローをうたっても、実行できないのでは意味がありません。
そして人件費。費用の高い専門職を使わず、なんの経験もないアルバイトを使うかもしれません。パネルの設置や配線をいいかげんにするかもしれません。
ソーラーシステムが普及した当初は、パネルの上に作業員が乗って作業し割ってしまうというトラブルがありました。
さらに、ソーラーパネルで利益を削れなければ、架台や配線、雨漏りを防止するコーキング材の質を落とします。
契約書に型番が書かれていても、黙ってランクを落とされる可能性もあります。消費者は、なかなか屋根にのぼって確認できません。施工時に屋根材が割られていて雨漏り。何年かのち、不具合が発生してはじめて気づく・・・なんてことも。
1円でも安くソーラーシステムが欲しい。
その気持ちはよくわかりますが、激安店から買ったばかりに倒産してアフターフォローが受けられない、故障した、雨漏りがした、なんてことのないようにしてください。
どんなものにも適正価格というものがあるのですから。