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太陽光発電の契約に関する法律(民法)
【住宅用太陽光発電システムに関する営業に関する問題】
PIO-NET(ぱいいおねっと。全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センターをネットワークで結ぶシステム。
PIO-NETによれば、太陽光発電に関しては年間3000件近い消費者相談が消費者センターに寄せられている状況です。相談のなかったトラブル予備軍も含めれば、この数はさらに膨れ上がります。
とくに訪問販売に関する相談が多く、相談の寄せられるケースの販売方法は
・訪問販売 68.9%
・電話勧誘販売 11.6%
・その他 11.5%
・店舗購入 8%
となっています(参考・内閣府ホームページ「太陽光」で検索)。
電話をしてから訪問する「電話勧誘販売」も訪問販売の一種と考えると、ほぼ8割の相談が訪問販売となっています。
相談内容は
・販売方法 37.8%
・契約・解約 35.7%
・価格・料金 11.3%
・接客対応 7.4%
・品質・機能・役務品質 5.0%
・その他 2.9%
となっています(内閣府消費者委員会 住宅用太陽光発電システムの販売等に係る消費者問題についての提言などを参考)。
平成23年以降、太陽光発電システムの広告をめぐり、景品表示法に基づく行政処分が2件、特定商取引に関する法律に基づく行政処分は相当数されています。
【太陽光発電システムの導入に関連する法律関係】
太陽光発電システムの導入に関連する法令等は大きくわけて3つあります。
・契約に関連する法律
・設置・施工時に関連する法律
・アフターフォロー
【契約時において関連する法律関係】
契約時に関連する法律は
・民法
・消費者契約法
・特定商取引に関する法律(特定商取引法)
・製造物責任法
があります。
ここでは、基本法となる民法をとりあげます。
>民法(みんぽう)
民法は、人と人の取引や家族に関するルールを定めた法律です。
よく誤解されていますが、契約とは「売ります」「買います」といった意思の合致があれば、契約書がなくても成立します。
太陽光発電システムの設置には、購入と設置が伴います。「売買契約」と「工事の請負契約」という2つの契約を結ぶのです。
>民法の瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)
売買契約では、売主と買主はお互いが所定の性能を有していることを前提に取引します。
もしも、太陽光発電システムが不完全だったり、すぐに故障したら、売主は返金や修理、交換など責任をとらなければいけません。これが売主の瑕疵担保責任です。
瑕疵(かし)とは、売主が通常の注意を払っても気づかないような欠陥。その欠陥があることで、買主が契約した目的を達することができない場合には、買主は売買契約を解除することができます。
この解除は、買主が瑕疵の存在を知ったときから1年間です。
>請負契約(うけおいけいやく)
ある仕事の完成を目的として報酬を支払うことを約束する契約を「請負契約」といいます。
太陽光発電システムは、工事請負契約にあたります。売買契約と同様、設置工事に欠陥(瑕疵)があり、本来の性能を発揮できなければ、民法上、買主(注文者)は請負人(工事をした業者)に修理や設置のやり直しを求めることが可能です。
これは、請負人が目的物(太陽光発電システム)を引き渡した時から1年間です。
【買主にも債務不履行責任がある】
瑕疵担保責任は、売主や請負人の業者側が負う責任ですが、消費者(買主)が工事が終わっても代金を支払わない時は、契約違反となり、債務不履行責任を負います。
約束をして、相手が約束を守ったのに片方が守らなければ罰を受けます。太陽光発電システム設置の場合、業者は支払いを催告(催促)したうえで、契約を解除することができます。
契約の解除とは、契約を白紙に戻すこと。お互いに契約が成立する前と同じ状況に回復させる義務(原状回復義務)が生じます。
一度取り付けてしまったシステムは、もう新品で販売することはできません。業者には生じた損害の賠償を買主(消費者)に請求することができます。